オレフィン系の高分子化合物の総称

  • お米の袋、おしぼり袋、ゴミ袋からスーパーの買い物袋、洗剤の容器、ボールペンのキャップや中芯に至るまで広く使われているポリエチレン
  • パンやお菓子の袋、乾燥食品の袋、家庭で使う衣装箱、電気洗濯機の洗濯槽などに使われているポリプロピレン

これらのオレフィン系の高分子化合物を総称して「ポリオレフィン」と呼んでいます。

ポリオレフィンQ&A
(日本ポリオレフィンフィルム工業組合サイト)

ポリオレフィンは、引張強さ、引裂強さ、衝撃強さなど機械的性質や、防水・防湿性、耐薬品性に優れているほか、非常に軽い、透明性、通気性やヒートシール性(加熱密封)がある、毒性がまったく無いなど、実に多くの特性を備えています。
また、経済的で多種多様の製品が量産できることも、大きな特長です。

ポリオレフィンとポリ塩化ビニルフィルムは違います

原油は常圧蒸留装置の沸点範囲によって石油ガス、ナフサ、灯油、軽油、重油・アスファルトなどに分けられます。ナフサからはガソリンやタイヤなどの石油化学製品の原料となります。

ビニールフィルム(本当の名前はポリ塩化ビニルフィルム)と間違えられやすいですが、ポリオレフィンは、石油(ナフサ)からつくられていますが、ビニールフィルムは石油と塩から作られています。
したがって、ポリオレフィンとビニールフィルムはそれぞれ別のもので、特性や用途も違います

しかし、日本でいち早くビニールフィルムが生産され普及したため、いまでもポリオレフィンとビニールを間違える人が多く見受けられます。
現在の生産量(平成11年)をみると、ビニールフィルムの約45万トンに対して、ポリオレフィンは約117万トン。この数字から分かるように、今ではビニールと呼ばれているものの多くが、実はポリオレフィンなのです。

ポリオレフィンの主な用途は“袋”なので、紙袋と比べてみましょう。

同じ機能をもつ袋を紙の代わりにポリオレフィンで作ると重さが約4分の1になります。そのためゴミになった時の収集や運搬コストもポリオレフィンのほうが安く済みます。
また、近年問題になっているゴミの高カロリー化についても、ポリオレフィンの単位重量あたりの発熱量は紙の約2.8倍あるものの、製品が軽いため、一枚あたりの発熱量は紙より低くなります。

さらにポリオレフィンは燃やした後も、埋め立て処分に困る灰をだしませんし、直接埋め立てる場合でも、ビンやカンほどかさばりません。
エチレン=C2H4 、プロピレン=C3H6 など、オレフィン系炭化水素はすべてCnH2nという化学式で表せます。
つまりポリオレフィンは炭素(C)と水素(H)からできているのです。そのため、ポリオレフィンを燃やしても水(H2O)と炭酸ガス(CO2)になり安全です。

また、オゾン層を破壊の原因といわれているフロンを発生することはありません
環境ホルモン、ダイオキシンも燃焼して発生することもありません

低密度ポリエチレン(LDPE)

特徴

  1. 比重は0.92~0.93で、結晶化度も低い。(60%)
  2. フィルムは透明で、強度は高密度ポリエチレンより小さい。
  3. 耐水性、耐薬品性に優れ、フィルムは水蒸気、空気などを通さない。
  4. 衝撃に強く、耐寒性が良好である。
  5. 電気特性に優れる。(600V/mil)

主な用途

水物包装、米・砂糖・塩などの重量物包装、軽包装、食品包装、工業資材、牛乳・ジュースなどのポリエチレン加工紙、インスタント食品・菓子・漬物などのラミネートフィルム

高密度ポリエチレン(HDPE)

特徴

  1. 比重は0.94~0.96で、半透明、結晶性(90%)である。
  2. 剛性があり、成形材料にもなる。
  3. 電気特性に優れる。
  4. 耐水、耐薬品性に優れ、水蒸気、空気を通さない。
  5. 衝撃に強く、耐寒性もよい。
  6. 成形品の表面は比較的柔らかく、125℃で溶け、燃焼するとロウの臭いがする。
  7. 防湿性に優れる。
  8. 安価

主な用途

写真印画紙、ショッピングバッグ、菓子・茶・パンなどのラミネートフィルム

直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)

特徴

  1. 透明性が良好である。
  2. 耐薬品性に優れる。
  3. ヒートシール性が強大で加工性に優れる。
  4. 極めて汎用性が高い
  5. 耐衝撃性が良好で、フィルムや袋は破れにくい。

主な用途

水物包装、米・砂糖・塩などの重量物包装、軽包装、食品包装
食品・工業資材等のラップラップ